ほっと一息
2026.08.11
なくそう食品ロス
JA広報通信2026年8月号
食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美
イラスト:出口由加子
ナスの過剰除去、食品ロスを防ごう
「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざを聞いたことがありますか? 諸説ありますが、秋に取れるナスは格別においしいから、憎たらしい嫁には食べさせるなという、しゅうとめの意地悪と解釈されることが多いようです。
いずれにせよ、秋ナスがおいしいという証拠でしょう。秋ナスは夏のナスを収穫した後の株を剪定して成長させたものから収穫します。夏の強い日差しを浴びて育った夏ナスに対して、朝晩の気温差の中でゆっくりと育つため、皮が薄く実が締まり、甘さが増すといわれています。
そんなナスの廃棄率(食品の重さに対する廃棄部分の割合)は10%です(※)。へたを切り落とす際に実も切り過ぎてしまうこと(過剰除去)が多いようです。へたに対して包丁を斜めに入れてギリギリのラインで切り落とし、がくをむくことで、廃棄率を半分程度まで減らして丸ごと使い切ることができます。
また、焼きナスは皮をむいて作ることがありますが、この皮は捨てずにぬか漬けや浅漬けにすることで廃棄を防ぐことができます。
ナスのように水分が多く傷みやすい野菜が余ってしまったときは、干し野菜にすると日持ちします。干しナスは肉のようにジューシーな食感になるそうです。
なお、JAの直売所などには、曲がったり傷が付いたりした「規格外」のナスが並ぶこともあります。形が悪かったり、少し傷が付いていたり、色むらがあったりする場合でも、味は変わらずおいしい場合がほとんどです。見かけた際は手に取ってみてください。
冒頭に紹介したことわざは、旬の恵みを無駄にしたくない気持ちの表れかもしれません。先人は今以上に食べ物を大切にしていたのではないでしょうか。季節は短く、旬は一度きり。秋ナスを皮まで丸ごと味わい尽くしてみてください。
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より


食品ロス問題ジャーナリスト
井出 留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。


