ほっと一息

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2025.11.07

身近な草木 和ハーブ入門 ユズ 冬の香温浴にお薦めのかんきつハーブ

JA広報通信2025年11月号

植物民俗研究家/和ハーブ協会副理事長●平川美鶴

 

 かんきつ大国・日本は、真冬でもバリエーション豊かな果実を手にできる恵まれた国。中でもみずみずしく爽やかな香りのユズは、今やフランスなど世界でも人気の和ハーブです。ビタミンCやクエン酸、ポリフェノール類などの栄養成分が豊富に含まれている他、果実はもちろん、果汁や果皮、種子、葉まで捨てずに丸ごと活用できるのも魅力です。
 そして冬の香温浴「ゆず湯」も身近な暮らしの風習です。一年のうちで最も昼が短く、夜が長くなる冬至の日、「冬至=湯治(とうじ)」に「ユズ=融通(ゆうずう)が利く」と語呂合わせの妙もありますが、太陽に見立てた黄色く丸いユズをお風呂に浮かべて入浴することで、風邪をひきにくくなるといわれています。また、ひび・あかぎれなどの肌荒れや湯冷めを防いでくれて、日本の冬の健康と美容にかなった知恵ともいえそうです。ただし肌の弱い方は、ユズの成分リモネンで刺激を感じやすいため気を付けましょう。

 

 ユズのマーマレード

 一度にたくさん取れるユズは使い道に悩むことがあるかもしれません。そんなときは、程よい酸味と甘さでリフレッシュできるマーマレードを作るのはいかがでしょうか。
 保存瓶は煮沸消毒をしておき、ユズはよく洗って水気を拭き取ります。ユズの皮をむき、細かく刻みます。果実は1房ずつ分けて半分に切り、種を取ります。皮と果実を混ぜて氷砂糖と交互に瓶の中に重ねていき、密封して冷蔵庫に入れ10日程度置きます。氷砂糖が溶け切った頃が出来上がりです。分量の目安はユズ:氷砂糖=1:1が基本。仕込み中は部屋がユズの香りで満たされます。ヨーグルトに合わせたり、そのままお湯に溶いて飲んだりするのもお勧めです。冬の身近な宝物・ユズを存分に楽しみましょう!

 

樹上でたわわに実るユズ

 

 

ユズのマーマレード

 

 

 

 

植物民俗研究家/一般社団法人和ハーブ協会副理事長  平川 美鶴(ひらかわ みつる)

8月2日“ハーブの日”生まれ。全国各地の足元の植物と人のつながりを訪ね、日本人らしい生き方や感性を探求。講演、執筆、ものづくり、フィールド案内、実践ワークショップ、地域創生プログラムなど幅広く携わっている。著書に『和ハーブのある暮らし』(エクスナレッジ)など。