ほっと一息

ほっと一息

2025.10.09

農と歳時記

JA広報通信2025年10月号

和文化講師●滝井ひかる

立冬・小雪

 

■ 立冬(りっとう 2025年は11月7日)
 二十四節気の立冬は、11月に入り木枯らし1号の便りが聞こえてくる頃。暦の上では冬ですが「小春日和」といって春のような陽気が感じられる日もあります。
 旧暦10月の亥(い)の日には、西日本で亥の子祭りが行われます。イノシシが多産なことから子孫繁栄が転じて収穫を祝う行事となりました。田畑の神様に、イノシシの子に見立てた亥の子餅を供えます。
 東日本では旧暦の10月10日に十日夜(とおかんや)が行われる地域があります。収穫が終わり田畑の神様が山に帰る日にかかしを祭ります。どちらの行事も農作業のねぎらいと収穫への感謝を込めて行われます。

 

 

 


■ 小雪(しょうせつ 2025年は11月22日)
 二十四節気の小雪は、雪がちらほら降り始め、少し寒さを覚える頃。
 11月には日本各地で品評会や農業祭が行われ、豊作の象徴である野菜の宝船を見かけることがあります。
 勤労感謝の日は元来、天皇がその年の新穀を宮中で神様にお供えし、自らもこれを食して収穫の感謝と豊作祈願をする祭事で「新嘗(にいなめ)祭」といわれています。
 ちなみに新嘗祭で宮中に供えられる穀物は米・麦・豆・粟(アワ)・黍(キビ)または稗(ヒエ)です。五穀豊穣(ほうじょう)の五穀とはこれらを指しています。
 見頃を迎えた紅葉が落ち葉となって木枯らしに吹き寄せられると、本格的な冬の到来です。