ほっと一息

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2025.09.17

農と歳時記

JA広報通信2025年9月号

和文化講師●滝井ひかる

寒露・霜降

 

■ 寒露(かんろ 2025年は10月8日)
 二十四節気の寒露は、冷えた露が降りる頃で、朝晩の空気が一層涼しく感じられるようになります。
 寒露が過ぎた頃、伊勢神宮では10月15日から17日にかけて、日本の稲作文化に深く関わりのある神嘗祭(かんなめさい)が行われます。神嘗祭では、天皇陛下がその年に最初に収穫なさった新穀の御初穂や、各地の農家から寄せられた稲束が奉献されます。秋の実りに感謝し五穀豊穣を祈願する大切な行事といっていいでしょう。
 気候変動などに伴い、新米の時期が年々早まっていますが、本来は神嘗祭の後に新米をいただくといわれています。

 

 


■ 霜降(そうこう 2025年は10月23日)
 二十四節気の霜降は、字の通り初霜が降り始める頃です。
 昔は今より冷え込みが厳しかったため、この霜降が農事の目安でした。寒さに弱い農作物の収穫を終え、霜よけの対策をし、一方で、霜に当たることで甘味を増す農作物の準備や、漬物などの仕込みを始めます。日本酒の仕込みが始まるのもこの頃ですね。
 秋晴れが多い季節とはいえ、時雨が降るのもこの時期。一時的に降る軽い通り雨のことを時雨と呼びます。初霜と同じく晩秋から初冬にかけての季語でもあります。
 寒さとともに景色が紅葉(こうよう)に彩られるのももうすぐですね。