ほっと一息
2025.08.14
農と歳時記
JA広報通信2025年8月号
和文化講師●滝井ひかる
白露・重陽・秋分
■ 白露・重陽(はくろ・ちょうよう 2025年は9月7日・9月9日)
二十四節気の白露は名前の通り、しらつゆが降り始め秋の気配を感じさせる頃。とはいえまだまだ暑い日が続き、作物に朝露や夜露が降りる風景は見られませんね。
9月9日の重陽の節句(菊の節句)も、露が関係しています。宮中では前日に菊の花に綿をかぶせておいて、翌朝に菊の香りと露を含んだその綿で体を拭くと1年間無病息災でいられる、と信じられていました。
行事食として秋の味覚の栗ご飯をいただきます。他にも食用菊の吸い物や酢の物、菊を浮かべた菊花酒でお祝いをします。
■ 秋分(しゅうぶん 2025年は9月23日)
秋分は春分と同じく昼と夜の長さが同じ日。仏教ではご先祖さまを供養する日ですが、秋の収穫がピークを迎える頃でもあります。
この時期の行事食といえば、おはぎ。秋分の日にいただくのは秋の七草の「お萩(はぎ)」、春分の日にいただくのは春の花にちなみ「牡丹(ぼた)餅」と呼びます。
小豆は縄文時代から食べられていて、小豆の赤色は邪気をはらうといわれています。「お萩」は、秋に収穫した柔らかい新小豆を炊くためにつぶあんで作り、「牡丹餅」は冬の間の保存食だった小豆を、皮を取り除いて炊くためにこしあんで作る、という説もあります。
「暑さ寒さも彼岸まで」ともいわれています。