ほっと一息
2025.08.08
野菜もの知り百科
JA広報通信2025年8月号
土壌医●藤巻久志
ポップコーン(イネ科トウモロコシ属)
トウモロコシにはスイートコーン(甘味種)、ポップコーン(爆裂種)、フリントコーン(硬粒種)、デントコーン(馬歯種)などがあります。スイートコーンは未熟の雌穂(しすい)を利用しますが、他の種のほとんどは完熟させて収穫します。
トウモロコシは風媒花で、花粉は200m以上飛ぶことがあります。他の種の花粉が雌穂から出る絹糸にかかると、粒の色や硬さが変わるキセニア現象を起こしますので、栽培は他種と距離を置くか、種まき時期をずらします。
スイートコーンの草丈は160~180cmで、種まき後80~90日ごろに株の上の方に付いた雌穂を1本だけ収穫します。ポップコーンは草丈2m以上にもなり、生育旺盛なので1株で2本の収穫が可能です。種まき後4カ月くらいで、雌穂の包皮や茎葉が完全に枯れてから収穫します。収穫後は包皮をむいて、軒先につるすなどして半月くらい乾燥させます。乾燥が不十分だとよくはじけません。常温で1年以上保存できます。乾燥させたポップコーンはスナック菓子「ポップコーン」の原料で、食べたいときに食べる分だけ穂から粒を指で剝がして、バターを溶かしたフライパンでいります。
フライパンにふたをしないと、はじけたポップコーンが所構わず飛び散ってしまいます。透明の強化ガラスのふたをすればはじける様子を見ることができ、子どもたちは大喜びです。1本の穂の実で丼2杯くらいの量に膨らみます。胚芽、胚乳、外皮が除去されていない全粒穀物なので、食物繊維やミネラルが多く含まれ、ダイエット食品にもなります。
ポップコーンといえば映画館ですが、館内での飲食を制限するところが増えました。家庭では周りを気にすることなく映画などを鑑賞できます。塩や溶かしたキャラメルなどで好みの味付けをしたポップコーンを食べながら、ポップコーン発祥の地、米国の映画をお楽しみください。
藤巻 久志(ふじまき ひさし)
野菜研究家、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。