ほっと一息

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2025.07.22

知って納得!税金講座

JA広報通信2025年8月号

JA全中・JA全国相続相談・資産支援チーム 顧問税理士●柴原 一

扶養控除と特定親族特別控除の創設

 

 子育てにおいて、大学生の年代(19~22歳)は最も学費がかかる時期です。そのため、扶養控除の中でも特定扶養控除として、他の扶養控除よりも控除額が高く設定されています(63万円)。しかし扶養控除の適用要件である合計所得金額を1円でも上回ると、扶養控除は一切適用できなくなります。控除額が63万円から0円になる崖のような落差を解消するため、新たに令和7年分所得税(住民税は令和8年度分)から特定親族特別控除が創設されました。 基礎控除と給与所得控除の改正により、子の給与収入が123万円までは親は扶養控除の適用を受けられます。さらに、子が19~22歳の場合には、特定親族特別控除として給与収入123万円を超えても150万円までは特定扶養控除と同額の63万円の控除が受けられ、その後、段階的に控除額が減っていく(61万~3万円)仕組みになっています。
 特定親族特別控除の要件は次の通りです。①生計を一にしている ②その年12月31日において19~23歳未満 ③専従者でない ④控除対象扶養親族に該当しない
 注意すべき点は、特定親族特別控除の対象となる者=給与収入で123万円を超えている者です。よって、扶養親族には該当せず、障害者控除や住民税の非課税計算の人数にも反映されません。ひとり親控除も純損失や雑損失の繰越控除がある場合などを除き、適用できません。
 また、早生まれ(1月2日〜4月1日生まれ)の大学1年生は12月31日時点では18歳のため、特定扶養控除や特定親族特別控除は使えず、一般の16歳以上の扶養控除38万円のみとなります。なお、法律上は誕生日の前日に年を取るため、1月1日生まれの方は12月31日時点で19歳という扱いになり、控除を受けることができます。