ほっと一息

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2025.07.23

資産管理の法律ガイド

JA広報通信2025年7月号

JA全中・JA全国相続相談・資産支援チーム 顧問弁護士●草薙一郎

親族法について その23

 

 今回から養子についての説明をします。
 20歳に達した者は養子をする(他人の子を自分の子として養子縁組する)ことができます(民法792条)。
 つまり、20歳になると養親となる資格を有するということです。そして、養子は養子縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得することになります(同809条)。ただ、養子をするためには法律が定めた要件があります。
 まず、縁組当事者に養子縁組をするという意思が必要となります。従って、その意思のない縁組は無効となりますが、相続税対策の目的を有していても法的には有効ですし、縁組当事者が一緒に生活することは縁組成立の要件ではありません。
 真に親子になる考えがあるのなら、養親は何人でも縁組することができます。この点、税法では基礎控除の対象となる養子の人数は制限されるのですが、民法上は養子は何人でも可能ということになります。
 また、養子縁組をする意思の存在が前提ですので、養親になろうとする者の判断力に問題がある場合には、縁組をしても無効となります。
 次に養子縁組の成立のためには、縁組の届出が必要となります。届出をしないと養子縁組とはならず、養子に関する効果は生じません。
 その他にも養子縁組に必要な要件がありますが、詳細は次回以降に説明します。
 養子縁組が成立すると、養子に嫡出子の身分が生じますので、相続関係が発生したり、養親子間に扶養義務が生じたり、養子が未成年者なら養親の親権に服することになるなどの効果や、氏にも影響が生じるのが原則です。