ほっと一息
2025.06.20
ご飯をおいしく楽しもう
JA広報通信2025年6月号
米・食味鑑定士/お米ライター●柏木智帆
ご飯をおいしく楽しもう
夏でもおいしく「低アミロース米」を食べるには
粘りが強くもっちりとして軟らかい食感の「低アミロース」という種類のお米をご存じでしょうか。
お米のでんぷんは「アミロース」と「アミロペクチン」の2種類で構成されています。その割合は、ざっくりいうと、アミロースが20%前後、アミロペクチンが80%前後。このアミロースの割合が低いお米が低アミロースです。アミロースの割合が低いほど、お米は粘りが強くなり軟らかくなります。つまり、もち米のアミロースはゼロ。もち米と一般的なうるち米の中間が低アミロースというわけです。
低アミロースの品種は、例えば「ゆめぴりか」「ミルキークイーン」「淡雪こまち」「たきたて」「だて正夢」「ゆきむすび」「ぴかまる」「おぼろづき」など。炊飯するときには、品種や好みによって10%ほど水を減らして炊くと、品種の持ち味を楽しむことができます。
ただ、秋冬は低アミロース米を好んで食べている人でも、暑い季節になってくるとだんだん重たく感じてしまいがちです。そんなときは、他の一般的なうるち米に低アミロース米をブレンドして炊くことをお勧めします。
まずは低アミロース米を2割ほど混ぜ、何度か炊飯しながらブレンドするお米の特性や個人の嗜好(しこう)に合わせて割合を調整していき、好みの配合を探ってみると良いでしょう。
現在は、お米は単一品種で楽しまれるのが基本で、ブレンド米に対して「品質の良くないものを混ぜる」といったネガティブなイメージが付きまといがち。でも、本来のブレンド米は精米店の腕の見せどころであり、お米の魅力をさらに掘り起こす方法の一つでもあります。家庭でも気軽にブレンドを楽しんでみると、年間通じて低アミロース米が手放せなくなるかもしれません。
もち米のように白濁した見た目の低アミロース米「淡雪こまち」