ほっと一息
2025.06.19
身近な草木 和ハーブ入門
JA広報通信2025年6月号
植物民俗研究家/和ハーブ協会副理事長●平川美鶴
身近な草木 和ハーブ入門
シソ 元気をよみがえらせる和ハーブ
「和ハーブと聞いて思い浮かべるものは何ですか?」と尋ねると、よく返ってくる回答がシソです。大葉とも呼ばれごく身近な薬味ですが、シソと日本人のつながりは長く、縄文遺跡からも種子が見つかっています。
シソの最大の特徴といえば香り。主な芳香成分・ペリルアルデヒドには防腐・殺菌作用があるとされ食品の保存に、食べることで消化促進・健胃作用が期待できます。ちなみに香りがする部位は主に葉の裏側にあります。いったん香りが立つと揮発しやすいため、食べる直前に細かく刻むのがポイントです。料理では前菜からメイン、デザートまで幅広くアレンジができるので、庭やプランターで育てておけば大活躍です。
育てる際は日なたから半日陰の肥沃(ひよく)な土壌がお薦めです。表土が乾いたらたっぷりと水やりし、高さ15cmほどに成長したら株の頂点を摘むことで葉の収量が増やせます。旺盛に育った葉を収穫して泥などを洗い流したら、水気を拭いて酢や焼酎に漬けておくのも良いでしょう。また、赤ジソはシロップにして、夏場の疲れた体に元気をよみがえらせてくれるドリンク「赤じそジュース」にしてみましょう。
■ 赤じそジュースの作り方
①赤ジソ100gを水でよく洗い、水気を切っておく。
②鍋に水1Lを沸かし、①を入れて葉の赤色が抜けて緑色になるまで5~10分ほど煮出す。
③②に砂糖300gを加えて煮詰める。
④火を止めて、仕上げにリンゴ酢200mlを加え混ぜる。
⑤粗熱が取れたら煮沸消毒した保存瓶などに移し替え、冷蔵庫で保管する。
水や炭酸水で割ってハッカの葉などを浮かべるのも良いですね。ビールで割ればほんのり甘く爽やかで色鮮やかなビアカクテルになります。
赤じそジュース
平川 美鶴 (ひらかわ みつる)
8月2日“ハーブの日”生まれ。全国各地の足元の植物と人のつながりを訪ね、日本人らしい生き方や感性を探求。講演、執筆、ものづくり、フィールド案内、実践ワークショップ、地域創生プログラムなど幅広く携わっている。著書に『和ハーブのある暮らし』(エクスナレッジ)など。