ほっと一息
2025.06.03
私の食育日記
JA広報通信2025年6月号
食育インストラクター●岡村麻純
「1升」ってどのくらい?
末っ子が1歳の誕生日を迎えました。1歳の誕生日の恒例行事といえば一升餅です。
そもそも餅は稲作文化の日本において古くから縁起の良いものとして扱われてきました。正月に餅を食べるのもそのためです。1歳のお祝いに1升の餅を背負うことで、一生食べ物に困らないように、餅のように伸び伸びと育ちますように、そして丸い(円い)餅から円満な人生が送れますようになど、たくさんの願いが込められています。
そんな一升餅ですが、1升の重さがどのくらいかをご存じですか?
1升は重さの単位ではなく、容積の単位です。升というのは日本古来の国が定めた計測法である尺貫法の一つで、長さを表すものを「尺」、質量を表すものを「貫」、そして容積を表すのが「升」です。現在はあまり使われていない単位ですが、着物の長さはいまだに尺が使われますし、酒の一升瓶は今も使われています。米1合の容積は180ml、重さが150gですので、1・5kgの米を1升と呼びます。米は炊き上がると1合が350gほどになるので、1升の米を炊くと、3・5kgのご飯が出来上がります。
では一升餅の重さはというと、もち米の場合は炊き上げる水分量が違うため、1升のもち米を餅にすると、約1・8kgになるそうです。
このように升はあくまで容積の単位ですので、最近では一升パンや一升ケーキも見かけますが、本来ならば、ものが変われば重さも変わってくることになります。
ちなみに、一升瓶は1・8Lですが、この一升瓶は現在も使われている規格で、酒以外にもしょうゆなどの調味料で使われています。
米を量る升(ます)が容積の表し方の基準だった日本。米文化の日本らしさとして子どもたちにも伝え、米を大切に思ってもらえればと願いました。
岡村 麻純(おかむら ますみ)
タレント・食育インストラクター
お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女3児の母