ほっと一息

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2025.05.22

知って納得! 税金講座

JA広報通信2025年5月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一

小規模宅地等の減額特例の駐車場への適用は?

 

 駐車場の貸し付けを行っている土地を相続した場合の話です。駐車場は、土地の相続税評価において「雑種地」に該当し自用地として評価します。また、要件を満たす駐車場は、相続税の計算において、知って納得! 税金講座小規模宅地等の減額特例の貸付事業用宅地等に該当します。
 小規模宅地等の減額特例の対象となる土地は、建物または構築物の敷地の用に供されていることが要件です。建物は分かりやすいですが、構築物とはどのようなものを指すのでしょうか。例えばアスファルトやブロック塀、門扉、緑化施設および庭園など、ある程度強固な施設が構築物に該当します。よって、まったく構築物のない更地の青空駐車場は、小規模宅地等に該当しません。アスファルトに白線が引いてある駐車場は小規模宅地等に該当します。
 では、砂利敷きの場合はどうでしょうか。
 実は、砂利も「舗装道路及び舗装路面」に掲げる「石敷のもの」として構築物に該当します。しかし、砂利敷きの駐車場であっても、砂利の量が少なく土に埋もれていて土が見えているような状態であれば、強固な施設とはいい難く、除去が容易であるため、構築物には該当しないと判断される場合もあります。その場合には、小規模宅地等の減額特例は適用できません。
 付け加えると、小規模宅地等の減額特例では事業規模は問われません。事業とは呼べないような1台だけの駐車場の貸し付けであっても、賃貸借契約が結ばれており、継続して相当の賃料を得ているものであれば適用可能です。
 なお、小規模宅地等の減額特例は、期限内に相続税の申告書を提出することが適用要件に含まれます。特例を適用したことにより相続税額がゼロになる場合にも、申告書を提出することを忘れないでください。また、駐車場の賃料は消費税の課税対象です。規模が大きな駐車場や他の課税所得がある場合には、消費税の申告が必要となります。