ほっと一息

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2025.05.21

みんなのネットリテラシー

JA広報通信2025年5月号

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト●高橋暁子

ロマンス詐欺に注意

 

 異性との出会いを求めてSNS(会員制交流サイト)やマッチングアプリを利用する人もいるかもしれません。相手とやりとりを繰り返すうち、心の距離が縮まって親しくなることもあるでしょう。しかし、会ってもいないのに結婚やお金の話を持ち出された場合には、「ロマンス詐欺」に注意してください。

 

◎会う前の「結婚」「お金」は詐欺
 ロマンス詐欺では、「会いたいから旅費を送ってほしい」「荷物を送るから手数料を払ってほしい」など、会うため、プレゼントのためなどの口実でお金を出させたり、「2人の将来のためにお金を増やそう」「投資でお金を増やそう」などと、結婚をちらつかせて暗号資産の購入や架空の投資などを持ちかけられることが多いです。
 この際、投資サイト上では利益が出たように見せかけ、信用させるのが典型的な手口です。利益を出金しようとするとさらに振り込みを求められ、結局出金はできないままになることが多いです。最終的には、マッチングした相手や投資サイト運営事業者などと連絡が取れなくなり、返金もされないという詐欺なのです。

 

◎会う前のビデオ通話、送金前の相談を
 外国人や外国在住の日系人を自称し、見た目の良い異性の写真を使用して医師やジャーナリスト、軍関係者などの社会的地位があるお金持ちを自称していることが特徴です。会う前にSNSやマッチングアプリ以外のサービスでのやりとりを持ちかけられることも多いです。
 相手が自称している通りの人なのか、ビデオ通話で話すと確認できるでしょう。人工知能(AI)で作成したディープフェイクの場合、急に顔の向きを変えることが苦手なので、依頼するといいでしょう。
 不安に感じたら、周囲の信頼できる家族や友人に相談したり、消費者ホットライン(188番)に電話しましょう。ロマンス詐欺の場合、振り込んだお金はまず取り戻せないため、振り込む前に勇気を出して相談することが大切です。

 

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト 
高橋 暁子(たかはし あきこ)
SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」などテレビ出演多数。SNS関連の著書は20冊以上。