ほっと一息

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2025.05.14

季節の歳時記

JA広報通信2025年5月号

和文化講師●滝井ひかる

芒種・夏至

 

■ 芒種(ぼうしゅ 2025年は6月5日)
 芒種とは稲などの種まきに良いとされる頃合いですが、実際には種まきではなく田植えの季節です。芒(のぎ)は稲や麦などの穂先にあるとげのような堅い毛のことを指します。
 6月11日には入梅を迎えます。梅雨入りを栗花落(ついり)とも書くのは、ちょうど梅雨の頃に栗の花が咲いて落ちるからだそうです。
 梅雨の訪れとともに黄色く色づいていくのが梅の実。青い実は梅酒に、熟した実は梅干しに、と梅仕事に精を出す頃ですね。
 洗濯物も乾かず、ジメジメとうっとうしい日々が続きますが、稲の生育にとっては必要不可欠な雨。恵みの雨に感謝しましょう。


 

■ 夏至(げし 2025年は6月21日)
 夏至は、一年の中で昼が最も長い日です。昼が最も短い冬至と比べると、4時間以上も長いそうです。
 冬が寒く長い北欧では、宗教儀式でもある夏至祭を、太陽への感謝を込めて盛大にお祝いするそうです。
 日本でも伊勢の二見興玉神社では古来より夏至祭が行われてきました。夏至の日は朝日がちょうど夫婦岩の間から昇り、拝みながら海に入って汚れを払います。
 6月30日は一年の半分が過ぎた節目の行事「夏越(なごし)の祓(はら)え」が行われます。この日、神社には茅(ちがや)で作った大きな輪が置かれます。8の字を描くように茅の輪をくぐってやくを払います。
 暑気払いも兼ねて氷に見立てたお菓子「水無月」をいただきましょう。