ほっと一息
2025.04.17
お天気カレンダー
JA広報通信2025年4月号
気象予報士●檜山靖洋
ゴトウの大風
「メイストーム」という天気の言葉があります。文字通り「5月の嵐」です。
1954年5月10日、猛烈に発達した低気圧が北海道の東へ進みました。中心気圧は952ヘクトパスカルで、気圧だけで見ると非常に強い勢力の台風に匹敵します。北海道の留萌(るもい)や岩見沢では、このときに観測された低い気圧が、今でも統計開始以降最も低い記録です。
この低気圧により、北海道では各地で嵐になりました。猛烈な風により、多くの漁船が遭難しました。5(ゴ)月10(トウ)日の嵐ということで、「ゴトウの大風」と呼ばれ、語り継がれています。この嵐こそが、メイストームという言葉の由来になったといわれています。
春は発達する低気圧により強風が吹くことが多いですが、5月になると、猛烈に発達する低気圧は少なくなってきます。そんな中、時には低気圧が発達し、巻き起こされるのがメイストームです。
参考:「防災歳時記(16)メイストームで海や山が大荒れ」 元・気象庁天気相談所長 宮澤清治
気象予報士・防災士
檜山 靖洋(ひやま やすひろ)
1973年横浜市生まれ。
明治大学政治経済学部政治学科を卒業後、印刷会社に就職。
1999年に気象予報士を取得し気象会社へ転職。
2005年からNHKの気象キャスターに。
朝のニュース番組「おはよう日本」の気象情報に出演中。