ほっと一息
2025.04.16
季節の歳時記
JA広報通信2025年4月号
和文化講師●滝井ひかる
立夏・小満
■ 立夏(りっか・2025年は5月5日)
ゴールデンウイークも終わりの頃になると立夏がやって来ます。
立夏の前に迎える端午の節句では、しょうぶ湯に入って邪気を払います。爽やかな香りのするハショウブはサトイモ科。アヤメ科のハナショウブとは別の植物です。
かつて端午の節句では、ショウブやヨモギなど薬草にも使われる香り高い植物を丸い籠状にして飾っていました。その厄よけの「薬玉」が今の「くす玉」の語源とされていて、こいのぼりの先にある玉もルーツは同じだといわれています。
端午の節句を過ぎたら、暦の上ではもう夏の始まりですね。
■ 小満(しょうまん・2025年は5月21日)
二十四節気の小満は、万物が少しずつ満ちてくる頃。五月晴れの空の下で、動植物の命がすくすくと育まれます。この時期に育つといえば、蚕とその餌の桑。小さな体で、絹糸を一生懸命繭にしてくれます。地域によっては今でも桑の木を身近に見かけることがありますね。
小満の頃は麦生日(ばくしょうび)とも呼ばれ、次第に麦が成熟し麦畑が色づき始めます。季節はこれから夏ですが、麦の収穫をすることからこの時期を「麦秋」といいます。
5月に降る雨を五月雨(さみだれ)といいますが、旧暦で五月雨といえば梅雨のことでした。
もうすぐ梅雨を迎え、麦茶や麦酒(ビール)もおいしい季節になっていきます。