ほっと一息
2025.04.09
私の食育日記
JA広報通信2025年4月号
食育インストラクター●岡村麻純
日本人と塩分
日本は塩分の摂取量が多い国といわれています。島国でおいしい食べ物があふれる日本では、保存目的含め塩分を多く使う料理がたくさんあります。そんな私もしょっぱいものは大好きです。しかし、塩分を取り過ぎてしまうと高血圧などの生活習慣病のリスクを高めてしまいます。
塩分と血圧に関する研究は赤ちゃんを対象にも行われており、ミルクから離乳食にかけて、減塩した赤ちゃんのグループは、しなかったグループに比べて数カ月後には血圧が低くなったそうです。また、この時期の減塩の有無によって、15年後の血圧にまで差が出たそうで、幼いときに減塩に慣れておくことは、将来にまで影響していきます。
幼児期の食事の様子を見ていると、チョコレートなどの甘い物をあげ過ぎないように気にかけている方は多く見かけますが、塩分量については気にかけている方は少ないように思います。実際、日本では大人だけでなく子どもの塩分過剰摂取も見受けられます。しかしながら、甘い物以上に塩味は癖になりやすく、濃い味好みになってしまいがちです。
日本人の食事摂取基準によると、塩分摂取量の目安は3~5歳の幼児期は4~4・5g未満で大人の半分ほどです。食べる量が増えてきた分、より薄味を心がける必要があります。外食するときは、子どもの分は少し薄める、家庭では、だしやスープなどのうま味を利用することや、肉を煮るときに酢を加える、トマト煮やパスタソースには少しバルサミコ酢を足すなどして少し酸味を加えることで、薄味でもおいしく感じることができます。また、海外の保育園では塩分を抑えるためにスパイスが利用されているそうです。
親がスナック菓子やカップ麺などを多く食べ、塩分摂取量が多いと子どもも多くなることが分かっています。減塩は日々の積み重ねによって効果が出てきます。まずは大人から、塩分の取り過ぎに気を付けていきたいと思います。
岡村 麻純(おかむら ますみ)
タレント・食育インストラクター
お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女3児の母