ほっと一息
2025.03.13
ご飯をおいしく楽しもう
JA広報通信2025年3月号
米・食味鑑定士/お米ライター●柏木智帆
春めいてきたらお米に使う水の温度に注意を
炊き上がったご飯に粒張りがなかったり、べた付きを感じたりしたときに、使う水の温度を変えたら改善されたことがありました。
お米の粘りやつやを引き出してふっくらと炊き上げるためには、お米を洗ったり炊いたりするときに「冷水」を使うのがお勧めです。
でも、水道からいつも冷水が出るとは限りません。
地域にもよりますが、一般的に冬場の水道水は10度以下の冷水です。ところが、夏の水道水は20度以上の「ぬるい水」になります。
春になって気温が上がると水温も上がります。手の感覚では意外と分かりにくいため、水道水の温度を小まめに測ってみましょう。
近年は栽培中に猛暑の影響を受けて、白く濁ったお米も見受けられます。このようなお米はぬるい水で洗ったり炊いたりしてしまうと、ご飯粒の表面がべた付くなど食感がより悪くなりがちです。
良質のお米であっても、ぬるい水で吸水させようとすると、短時間の吸水スピードは速いものの、お米の隅々まで水が行き渡りません。
一方で、冷水は短時間の吸水スピードは遅いですが、低温で時間をかけてじっくりと吸水させると、お米の隅々まで水が行き渡ることが分かっています(冷蔵庫の中で最低でも6時間以上吸水させることがお勧めです)。
お米が吸った水は熱を伝える役割を果たすため、炊飯時の熱もお米の隅々まで行き渡り、お米を芯からふっくらと炊き上げることができるのです。
春から初夏にかけて水道水の温度が10度台後半に上がってきたら、ペットボトルなどの容器に水を入れて冷蔵庫で冷やしておくことをお勧めします。冷蔵庫のスペースには限りがあると思いますので、「お米を洗うときに最初に触れる水」と「最後に吸水・炊飯させる水」だけは、冷やした水を使うとベターです。ミネラルウオーターを使う場合も冷蔵庫での保管をお勧めします。
冷水を使うとご飯がよりおいしく炊き上がります