ほっと一息
2025.02.07
日本の「農」と「食」を学ぶ
JA広報通信2025年2月号
●日本農業検定事務局
栽培環境の管理
作物栽培では、適地適作を基本としながらも、地域の気象条件を人為的に調節することで、収穫時期を調節したり、収量や品質を高める工夫を重ねています。例えば、温暖な地域で発達した施設園芸や、雨の多い日本で発達した野菜や果樹での雨よけ栽培はその典型的なものです。
問題
栽培環境の管理・気象条件の人為的調節について、間違っているものは次のうちどれですか。
(1)温室やビニールハウスなどを使って収量や品質を高める野菜や草花の栽培は、「施設園芸」と呼ばれている。
(2)雨よけ栽培は、露地栽培の野菜の上に屋根を架けて降雨と強い日差しを遮り、土壌水分を安定させる方法である。
(3)べたがけは、通気性・透水性のある不織布や寒冷しゃなどを栽培植物の上にかぶせ、強い風雨や厳しい寒暑から作物を保護する被覆法である。
(4)マルチングは、資材の種類により、雑草を防ぐ黒色マルチ、害虫飛来を防ぐ透明マルチ、地温を高めるシルバーマルチなどがある。
解答:正解は(4)です。
解説:露地栽培の安定生産に向けて、畑の栽培環境の向上に欠かせない技術が、マルチ資材で土壌の表面を覆うマルチングです。もともとマルチには稲わらや麦わらなどが用いられていましたが、現在は保温・保湿効果に優れたプラスチックフィルムが広く利用されています。
マルチングには資材の種類に応じて多様な効果があります。雑草の発生を防ぐ黒色マルチ、地温を抑え害虫の飛来を防ぐシルバーマルチ、地温を高める透明マルチなどです。全てのマルチには、作物の汚れや病気の伝染を防ぐ生物環境保全効果と、土の水分や軟らかさを保持し、雨による肥料の流亡を防ぐ土壌環境保全効果があります。
簡単な被覆法として、プラスチックフィルムや不織布、寒冷しゃを用いたトンネルもあります。低温期には積極的な保温による生育促進、作物の拡大、品質向上などの効果があります。高温期には雨よけや遮光による病害虫回避や品質向上などを狙いとして利用されています。
『新版 日本の農と食を学ぶ 中級編』(73ページ)より
日本農業検定ホームページ