ほっと一息
2025.01.09
お米をおいしくたのしもう
JA広報通信2025年1月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
お米は「ごみゼロ」のすごい作物!
みんなも学校で習うように「ごみ問題」は大きな課題ですね。地球がいくら大きいとはいってもその資源には限りがあります。だから今、私たちが使っているものを大事に使って無駄をなくすことこそ、地球環境を守ることにつながるんだ。そういったエコな視点から見ても、お米って実はすごい食材ってことが分かるよ。
実際に、どれだけすごいのか見てみよう。まず、炊きたてのほかほかご飯。ご飯粒は魚のように骨があるわけではないから、捨てる部分がなく100%食べられる食材なんだ。
他には「ぬか」。玄米を精米した後に出てくる、一見、使い道がなさそうなこの茶色い粉も捨てません。ぬか漬けや米油の原材料として、そして最近はインク・化粧品・せっけんにも使われているんだ。
産地では稲刈りした後にわらやもみ殻が出るけれど、これらは田んぼにまけばそのまま肥料になります。
それ以外にもわらはカツオのたたき、園芸で使う敷きわら、神社で使うしめ縄、大相撲の土俵で使う俵など、もうあちこちで使われます。もみ殻はリンゴやカニを箱で運ぶ際にその中に敷き詰めて食材が傷付かないようにするし、最近ではキャンプで使う「もみ殻燻炭(くんたん)」という燃料になったりします。
収穫されたお米が全て私たちの食卓に上るわけではありません。お米は「農産物」なので、実はお米粒の大きさや品質はばらばら。その中で「あまり良くない米粒」は、捨てるのではなく、せんべいや酒の原料などになっているんだ。
精米すると、砕けたお米や黒い斑点が付いたお米など、ぬか以外のものも出てきます。これらはスズメの餌になりますし、最近ではぬかでお菓子を作る人も出てきました。
このように、お米からはごみが出る余地がほとんどありません。そう、「ごみゼロ」な食材なんだね。
五ツ星お米マイスター
小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。