ほっと一息
2024.12.24
トラブル回避の基礎知識
JA広報通信2024年12月号
国民生活センター相談情報部●廣瀬裕子
訪問購入トラブルにご注意!
訪問購入による高齢者のトラブルが増えています。
【事例】終活を考えていたら、「近々ご近所を回ります。不用な着物類を売りませんか。査定だけでも大丈夫です」という電話があり、ちょうど良いと思い了承した。当日、来訪した業者に着物や帯を見せたら、「これだけでは買い取りできない、指輪やネックレスはないか、見るだけでいいから」と言われ、居座られた。断っても帰ってくれないので、仕方なくたんすから母の形見の指輪など貴金属数点を出した。業者はあっという間に用意した袋に物品を入れ、「着物他3万円」と記載した契約書を渡してきた。業者が帰った後で、大事な形見の指輪などをたった3万円で売ったことを悔やんだ。取り戻したい。
訪問購入とは、事業者が消費者の自宅などや営業所など以外の場所で物品を買い取る取引のことで、特定商取引法で規制されています。事例では、①事前に消費者の了解を得ていない物品の買い取りを求めている ②長時間居座り、断っているのに勧誘を続けている ③契約書に買い取る物品ごとの種類や特徴、数量、購入価格などの記載がない――などの問題が見られます。
消費者は法律で定められた内容が記載された契約書面を受け取った日を含めた8日間はクーリング・オフが可能で、その期間内は売却する物品の引き渡しを拒むことができます。しかし、引き渡しが拒めることを業者から伝えられずに物品を渡してしまうと、クーリング・オフをしても戻ってこない場合があります。
トラブルを防ぐためには、知らない業者からの電話には安易に応じないことが大切です。万一、業者の来訪に応じた場合、①訪問時に1人で対応しない ②クーリング・オフ期間内は物品を渡さない ③渡す場合は物品の写真を撮っておく――などが肝要です。大切な財産を失うことのないように、片付けについて心配事があれば、日頃から家族や知人に相談しておきましょう。