ほっと一息

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2024.12.10

みんなのSDGs 田んぼソムリエになろう

 

JA広報通信2024年12月号

田んぼソムリエ●林 鷹央

「田んぼ」に来る「トンボ」

   農業に関わる展示会(オーガニックライフスタイルエキスポ)で、「生物多様性」をテーマにパネルを展示しました。

 

 決められたスペースで田んぼの生きものたちのことを紹介しなくてはならないので、何を紹介するべきかとても迷いました。田んぼとその周りの環境、地元の方々が管理をして守っている風景。それを表現できる生きものは? ということで、トンボを選びました。

 

 トンボの写真にあえて名前は書かず、どこで生まれるか「出身」を書いてみました。意外にも田んぼで生まれたトンボより、田んぼの周辺で生まれて、田んぼに来るトンボが多いことに気が付きます。多くのトンボの種類が見られる田んぼの周りには、きれいな湧き水があったり、流れの緩やかな砂地の水路、水草が生えているような水路や小川、山林の斜面に面した土水路など、いろいろな水路があります。ヨシの生える湿地帯や管理されて水が張られた休耕田で生まれるトンボもいます。ヒシやジュンサイなどの植物が生息している池などもトンボの宝庫です。

 

 これらを地域で貴重な風景として保全することは、トンボだけではなく、そこで育つ人間の子どもたちの心も育みます。大人になっても「原風景」として心に残る懐かしさだったりするのです。

 

 


空飛ぶ虫の王者・オニヤンマは湧き水と深い関係がある

 

 

出展時の「田んぼに来るとんぼ」のポスター

 

田んぼソムリエ

林 鷹央(はやし たかお)
三重県生まれ、東京育ち。「田んぼの生きもの調査」を通して全国の農村・学校で生物多様性や農・里山文化の意義を伝える。著書に『田んぼソムリエになる!』(安心農業株式会社刊)がある。