ほっと一息
2024.11.28
お米をおいしく楽しもう
JA広報通信2024年11月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
ブレンド米
みんな「ブレンド」って言葉を知っているかな? 簡単にいうと混ぜ物のことだね。みんなが絵の具で絵を描くときには、たくさんの色を混ぜて自分が出したい色を作るよね。それと一緒でお米も違う品種を混ぜることにより、まったく違う味が出来上がるんだ。これを「ブレンド米」というよ。
ブレンド米はすごいんだ。小池精米店ではたくさんのすし店と取引があるんだけれど、その約半分は「オリジナルブレンド米」を使っているんだよ。それはすし店が作りたい理想のすしを実現するためなんだ。「お米なんて何でもいいや」ではなく、粒の大きさや、口に含んだときの粒のほぐれ具合、粘り具合など、自分の理想のすしを作るためにお米をいろいろ試した結果、ブレンド米にたどり着くんだ。
お米の味は、例えば炊き込みご飯とかまぜご飯とか、そういった料理で変わるけれど、やはり基本は「白米で食べたときの味」なんだよ。その味は品種によって違うけれど、でも新しい味を生み出すために新しい品種を作るには、実は10年単位の時間が必要なんだ。ところがブレンド米は、例えば「コシヒカリ」と「あきたこまち」を混ぜただけであっという間に出来上がる。
そう、ブレンド米は本当にすごい技術で、昔から行われていたんだ。昔は「コシヒカリ」や「あきたこまち」といったおいしいお米が少なく、手に入るお米を使っておいしく食べるためにブレンドしていたんだね。その技法が今も生きていて、精米店では新しい味を生み出す手法として使っているんだよ。
お米の味って淡泊だからあまりよく分からない……というのは海外の人たちの感想。私たち日本人はこのように繊細な味の違いを理解した上で、ブレンドによってもっと違う味を生み出しているんだ。
五ツ星お米マイスター
小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。