ほっと一息
2024.11.22
資産管理の法律ガイド
JA広報通信2024年11月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎
親族法について その15
今回から親子に関する法律の説明をします。
民法で規定する親子には、実子と養子があります。自然的血のつながりがある場合が実子、法律によって子となるのが養子です。
まず、実子についての説明をします。女性の場合、出産行為があるので、出産した子が母の子であることは理解されると思います。また、女性が他人の卵子を用いた生殖補助医療により、子を懐胎し、出産したときも、特別法によってその出産した女性は子の母とされています。
問題は父です。夫婦の場合、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されます(嫡出の推定といいます。民法772条1項前半)。婚姻前に懐胎した子であっても、婚姻後に生まれた子は夫の子と推定されます(同条1項後半)。
また、婚姻成立日から200日以内に生まれた子は婚姻前に懐胎したと推定し、婚姻成立日から200日を経過した後または婚姻の解消・取り消し日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したと推定されることになりました(民法772条2項)。
そして、同条3項で、いつの婚姻を指すかについては、出生の直近の婚姻の夫の子と推定されることになりました。
改正前の民法では、離婚後100日間は女性は再婚できないとされていたのですが、離婚後300日以内に生まれた子は、再婚から200日経過しての出産の場合、再婚後の夫の子と推定されてしまい、そのため出生届の提出をしないことが生じ、無戸籍となるケースがありました。これを防止するため、前記に改正されました。