ほっと一息
2024.11.21
知って納得!税金講座
JA広報通信2024年11月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一
償却資産税
償却資産税をご存じでしょうか。ちょっと影の薄い税金なので聞いたことのない方もいらっしゃるでしょう。名前が似ているため減価償却に関係するのかな、と思われがちですが、実は固定資産税の一種です。
償却資産とは、簡単にいうと、土地と建物以外の、事業の用に供することができる資産です。例えば、個人で事業(農業・不動産賃貸業など)を行っている方が事業に用いることができる構築物、機械、器具、備品などが該当します。具体的には、大型特殊自動車に該当する車両運搬具、ビニールハウスは構造により構築物または器具備品として償却資産になります。賃貸アパートの場合は、路面のアスファルト舗装や門、塀などの外構工事、受変電設備や屋外給排水設備などの建物附属設備などです。ただし建物附属設備は、家屋と設備などの所有者が同じときは家屋と償却資産に区分せず、家屋に含めて評価できるものもあります。例えば監視カメラ設備は、家屋と設備の所有者が同じ場合、配管や配線は家屋と一体評価できますが、受像機(テレビ)やカメラは一体評価できず償却資産として申告するという取り扱いになるので、手引などでよく確認しましょう。
間違いやすいものとして、普通運転免許で運転できるトラクターは、小型特殊自動車に分類されるため自動車税の対象となり、償却資産税は課税されません。償却済みの資産(耐用年数が経過した資産)、遊休または未稼働の資産、取得価額が20万円未満の償却資産でも個別に減価償却しているもの、があります。これらの資産は、償却資産税の申告の対象です。また10万円以上20万円未満の資産は、3年間で一括償却すると申告の対象となりませんが、少額減価償却資産として即時償却すると償却資産に該当し申告の対象となる点にご注意ください。
これらの償却資産は、その年1月1日時点の所有者が、その年1月31日までに償却資産として申告しなければなりません。ただし、価格などの算出の結果、課税標準額が150万円(免税点)未満の場合には課税されないため、納税通知書は交付されません。