ほっと一息

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2024.10.18

介護ハンドブック 義母の施設入居に反対する義姉

JA広報通2024年10月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 

 長期間の介護を経て施設入居が決まった途端、これまで介護に関与してこなかった親族から批判的な言葉を投げかけられることがあります。特に義父母の介護を1人で支えている妻の立場から、そのような事態に困っている声が多く届きます。

 

■ 介護状況を知らない義姉が口を挟む
 関東在住のDさん(女性・70代)は、脳梗塞で車いす生活になった義母を同居で17年以上ほぼ1人で介護してきました。Dさん自身も膝や腰を痛め、在宅介護に限界を感じていたところ、ケアマネジャーの勧めで施設入居を検討することになりました。幸いなことに、徒歩圏内にグループホームが新設され、とんとん拍子で入居が決まりました。見学に行った夫も「会いに行きやすいし、居心地も良さそうだ」と喜んでいました。しかし、他府県に住む義姉から突然「施設に入れるのはまだ早い。まだやれることがあるはず」と反対されたのです。義姉は、義母が倒れてから一度も介護に関わっていません。Dさんは、義姉の態度は理不尽だと思いつつも「もう少し頑張れば良かったのだろうか」と、罪悪感を抱えてしまいました。

 

■ 第三者の力を借り態勢を見直す
 このケースでは、夫が義姉を説得し、義姉の言動に対する謝罪と、これまでの介護をねぎらう言葉をDさんにかけてくれたそうです。
 しかし、味方になってほしい夫から「施設入居はまだ早い」「おまえは甘えている」と反対や批判をされるケースもあります。その場合は自分で説得せず、ケアマネジャーや地域包括支援センターに「私はもう限界ですが、夫が反対して施設入居できません」と、何度も相談してください。家族以外の第三者である介護のプロが間に入ると状況が変わることがあります。負担軽減の対策を一緒に考えてくれる人の存在があるだけでも、ストレスは大きく減るものです。身近な人から理解を得られないのは苦しいことですが、プロと一緒に今後の介護態勢の見直しを考えていくよう意識してください。