ほっと一息

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2024.10.02

知って納得! 税金講座 未支給の国民年金の取り扱い

JA広報通信2024年8月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一

 年金の支給を受けている方が亡くなると、年金を受け取る権利がなくなるため、「受給権者死亡届(報告書)」を提出します(日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合には、省略可)。高齢者が受け取る年金は、2カ月に1度、偶数月の15日に支給されます。例えば、8月15日に支給されるのは6、7月分の年金です。年金受給者が亡くなられた場合、本来被相続人が受け取るはずだった年金の未支給分が発生します。この未支給年金は、亡くなられた方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。受け取ることができる遺族は、配偶者(内縁も含む)、子、父母、孫など3親等内の親族です。この方々が、自己の名で未支給年金の支給を請求できる権利を「未支給年金請求権」といいます。なお、税務上の手続きにおいては配偶者は正式な婚姻関係がなければ認められませんが、この場合の配偶者は内縁でも認められます。
 未支給年金請求権は、亡くなった受給権者(被相続人)の遺族が自己の固有の権利として請求するものであるため、被相続人の相続財産にはなりません。遺族が支給を受けた未支給年金は、当該遺族の一時所得に該当します。一時所得は左記の算式により計算します。
【総収入金‒収入を得るために支出した金額‒特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額】
 未支給年金が50万円を超えるケースはあまりないと思いますが、例えば他に、満期一時金を受け取った、競馬で高額な馬券を当てたなどの一時所得があり、合算した結果一時所得の金額が50万円を超えた場合には、その2分の1の金額が他の所得と合算され課税標準を構成し、超過累進の税率により課税されます。