ほっと一息
2024.06.19
探してみよう 里山野鳥図鑑
JA広報通信2024年5月号
里山へ野鳥探しに出かけてみませんか。
難しい準備をしなくてもさまざまな種類の野鳥に出合えます。
普段の生活では気が付かなかった、四季折々の自然の魅力も発見できますよ。
見つけやすさの目安
★☆☆ 市街地でもよく見かける
★★☆ 自然の中では簡単に見つかる
★★★ 事前知識があれば観察できる
野鳥観察のポイントや楽しみ方
田んぼ周辺の里山で、季節を感じられる鳥を12種類選んでみました。野鳥たちはかわいらしい姿を肉眼で確認でき、鳴き声でも存在が分かるため、自然観察の入門として最適です。鳥を見たら、大きさ(スズメ、ハト、カラスと比べて)と鳴き声を気にしてみてください。尾や首の長さ、飛び方なども見分けるヒントになります。慣れてきたら身の回りに何種類の鳥がいるかすぐ分かるようになります。そこから世界が広がるはずです!
1月 マガモ
見つけやすさ:★★☆
観察ポイント:冬/川、貯水池、水辺
冬になると川や貯水池などの水辺にやって来ます。欧州の置き物にありそうな、緑色の顔のカモはマガモの雄(オス)です。雌(メス)は地味な薄茶色で他種のカモの雌と見分けにくいので、雄を目印に探すと良いでしょう。
2月 ツグミ
見つけやすさ:★★☆
観察ポイント:冬の終わり/公園、田んぼ
あまり鳴かない鳥で、口をつぐんでいるようなので「ツグミ」と呼ばれています。しかしよく観察していると、時々「キョッ」と声を上げます。冬の終わりに公園や田んぼで落ち葉の間の虫やミミズを探している姿を見かけます。体はずんぐりとしていて、素早く走ります。
3月 メジロ
見つけやすさ:★☆☆
観察ポイント:ツバキ、梅、桜
落ち着いた緑色の体と黄色いおなか、目の周りの白い輪が特徴です。寒い時期に「チュルチュル」と鳴きながらツバキの生け垣を猛スピードで出入りし、花の蜜を吸っています。庭に梅の花が咲くとやって来て、蜜を吸いさえずります。昼に桜の花見をしながら寝転ぶと、桜の上の方の花にもメジロが来ています。
4月 ツバメ
見つけやすさ:★☆☆
観察ポイント:民家の軒下
海を渡って旅をする夏鳥です。4月ごろから見かけるようになり、民家の軒下や道の駅のトイレの入り口など、人目に付くところに巣を作るのでなじみが深い鳥です。8月のお盆過ぎに、南へ戻るための飛行訓練を集団で行う「ツバメの学校」を見かけることもあります。
5月 ウグイス
見つけやすさ:★★☆
観察ポイント:里山のやぶの中
「ホーホケキョ」と誰もが知る声で鳴きます。梅の花を吸うメジロに間違われることも多いですが、ウグイスは肉食で昆虫などを食べます。やぶの中から声は聞こえるものの、姿を見つけるのは難しいウグイスですが、実際に見たときには地味で特徴のない姿に驚きます。
6月 カルガモ
見つけやすさ:★☆☆
観察ポイント:池、川、城の堀、田んぼ
渡り鳥ではないため、水辺で一年中見られます。皇居の堀から親子で道路を移動する姿が毎年報じられるなど、子ガモたちが親ガモの後を付いて歩く姿に癒やされます。田んぼにもよく飛来し、あぜに巣を作り、卵を温めていることもあります。
7月 アマサギ
見つけやすさ:★★★
観察ポイント:中干し中の田んぼ
白サギの仲間にはダイ(大)サギ、チュウ(中)サギ、コ(小)サギの他にアマ(亜麻)サギがいます。アマサギは、夏の時期だけ頭部の羽があま色※になります。比較的乾いた田んぼや草地にやって来ては、バッタやカエルなどを捕食しています。秋には白くなっているのでコサギとよく間違われます。 ※灰色がかった薄茶色
8月 スズメ
見つけやすさ:★☆☆
観察ポイント:民家周辺、JAのライスセンター周辺
小鳥といえばスズメ、というくらい身近な鳥ですね。人と生活圏が近く、山奥など人のいない場所では見かけません。「チュンチュン」という鳴き声で電線にずらりと並んだり、地面を跳ねたり、砂浴びをしたりと、愛くるしい姿が見られます。雑食なので稲に付く虫も食べますが、お米も大好物です。
9月 キジバト
見つけやすさ:★☆☆
観察ポイント:公園、木のある庭
背中にあるコイのうろこのような模様が特徴です。首にも特徴的な模様があり、80円切手にも描かれていました。「デデッポッポー」と鳴きます。公園や電線で多数群れているのは外来種のドバトで、キジバトは大勢で群れることはあまりありません。巣作りのために木の枝をくわえている姿がかわいらしいです。
10月 モズ
見つけやすさ:★★★
観察ポイント:秋〜冬の里、河原
秋を告げる鳥の代表格。肉食で、捕まえた昆虫や小動物を枝に刺す「速にえ」でも知られます。縄張り意識が強く、木や電柱などのてっぺんで「ジキジキ」と鳴きながら尾をグルグルと回す姿が見られます。スズメよりも少し大きくて、肩幅と変わらないくらい頭が大きいです。
11月 ヒヨドリ
見つけやすさ:★☆☆
観察ポイント:秋〜春/身近にいる
何羽かの群れでいることが多く、「ヒ〜ヨヒ〜ヨ」と鳴き声がうるさい鳥の代表格です。羽を閉じたり開いたりしながら、上下に波打つように飛ぶ姿は、富山の民謡『こきりこ節』の歌詞にも登場します。夏になると急に姿が見られなくなりますが、涼しくなる頃にまた街中に戻ってきます。
12月 ジョウビタキ
見つけやすさ:★★☆
観察ポイント:電線、庭木
雄はグレーの頭にオレンジのおなか、栗色の羽に白い紋があります。雌は地味な薄茶色で、同じく羽に白い紋があることから「紋付き」とも呼ばれます。冬になると街の電線や庭木にやって来て「ヒッヒッヒッヒ」と高い声で鳴きます。雄は似た模様を持つモズと縄張り争いを試みるも、まったく歯が立たずに退散してしまいます。
田んぼソムリエ 林鷹央 (はやし たかお)
三重県生まれ、東京育ち。「田んぼの生きもの調査」を通して全国の農村・学校で生物多様性や農・里山文化の意義を伝える。著書に『田んぼソムリエになる!』(安心農業株式会社刊)がある。