ほっと一息

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2024.06.09

私の食育日記 子どものお箸のマナーの学び方

JA広報通信2024年5月号

食育インストラクター●岡村麻純

 

 子どもたちは小学生になると、箸は自然と正しく持てるようになりましたが、今度はその一歩先、箸できれいに食べる作法も身に付けてほしいと思っています。大人になると、家では楽に食べて、外ではマナーを気にして意識的にきれいに食べるという使い分けができますが、子どもはまだそういった使い分けはできません。つまり日頃の家でのマナーがそのまま外での様子につながります。そこで、毎日の食事の時間に少しずつマナーを覚えてもらえるよう声をかけるようにしています。

 例えば、箸を取るとき、右手で上から箸を持ち、1回左手を下から添えて正しい向きの右手に持ち替えます。置くときはこの逆の動きをします。このちょっとした動きも、知らなければ箸先をテーブルでとんとんとつついてそろえたり、箸を取るときに落としてしまうことが増えたり、握り箸になったりと良くない習慣につながってしまいます。

 他にも、箸の使い方にはやってはいけないことがあります。箸を茶わんや皿の中央に橋を架けるように置く渡し箸や、料理に箸を突き刺して食べる刺し箸、箸をなめたりしゃぶったりするねぶり箸、箸を使って皿を引き寄せたりする寄せ箸、箸をいろいろな皿に付けて迷いながら選ぶ迷い箸などさまざまです。その全てに声をかけていたら食事の時間が苦しくなってしまいますが、毎日一つずつでも「こんなマナーがあるよ」と伝えていき、楽しい食卓を大切にしたままマナーの勉強ができるよう心がけています。

 箸をきれいに使うことを学ぶ上でお勧めしたいのが、箸置きです。普段の食事から箸置きを使うと自然と渡し箸がなくなり、箸の正しい取り方の練習にもなりますし、テーブル周りが箸先で汚れることもなくなりきれいな食事の仕方につながります。かわいい箸置きもたくさん見かけます。子どものお気に入りの箸置きを使って、箸のマナーを楽しく身に付けられることを願っています。

 

岡村 麻純(おかむら ますみ)食育インストラクター

お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女2児の母