ほっと一息
2024.07.13
老人介護のミニ知識 においの元を断ち切り快適生活
JA広報通信2009年6月号
高齢生活研究所所長 JA全農福祉用具アドバイザー●浜田きよ子
介護が必要な高齢者のお宅に伺うと、何とも言えないにおいが漂っていることがあります。それは尿や便のにおい、湿っぽいにおいなどさまざまですが、快適に暮らすためには、ある程度の消臭は大切なことです。
そこで肝心なのは、においの原因を突き止めること。寝たきりの方がいる場合、おむつの交換頻度が少ないため、アンモニア臭が強いことがあります。陰部が清潔に保たれているかどうかもにおいにかかわります。ポータブルトイレのバケツの手入れが良くないのが原因ということもあります。
そのほか、口腔(こうくう)ケアが行き届いていないため、悪臭となっていることも少なくありません。洗髪ができていないとか、体の清拭(せいしき)が不十分ということもあります。あるいは寝間着やシーツ、時にはカーテンなどにもにおいが染み込んでいることがあります。
においの元が分かれば対策は立てやすく、尿臭ならおむつの交換回数を増やすこと、陰部洗浄などを丁寧に行うことが大切です。アンモニア臭を吸着するかわいいぬいぐるみも市販されています。
口臭なら口腔ケア、特に舌苔(ぜったい)の除去が重要です。また寝間着などににおいがついていたら、洗濯用消臭剤を使うことでにおいがかなりすっきりします。部屋全体の消臭には、いろいろな脱臭機が市販されていますが、お茶殻などを使って部屋を掃除するのも効果があります。マスキングといって、芳香剤でにおいをつけるのは、かえってにおいが複雑になりますから、おすすめできません。いずれの場合にせよ、部屋の換気はしっかり行いたいものです。
過剰ににおいを気にするのも困りますが、ちょっとした配慮でにおいはかなり減少します。そのことで本人や家族の気分も変わってくるのです。