ほっと一息
2026.10.23
資産管理の法律ガイド
JA広報通信2026年10月号
JA全中・JA全国相続相談・資産支援チーム 顧問弁護士●草薙一郎
土地建物の契約 ①売買契約の当事者(2)
土地建物の売買や賃貸などの契約では、5項目のポイントを確認し、契約書に明記されることが大切です。今回は売買契約の当事者が成年後見などの審判を受けている場合について説明します。
審判には、成年後見(認知症や障害などで物事の判断力を欠く常況にある者)、保佐(同様に物事の判断力が著しく不十分である者)、補助(同様に物事の判断力が不十分である者)の3種類があります。
所有者が成年後見の審判を受けている場合は、土地建物の売買や賃貸は裁判所が選任した成年後見人が全ての権限を持ちます。この場合は、成年後見人が成年被後見人の代理人として売買などを行います。もし、成年被後見人である所有者本人が売買などをしても、その契約は取り消しの対象となってしまいます。
なお、成年被後見人の自宅を成年後見人が売却をする場合には、裁判所の許可が必要です。施設に入所して、自宅に戻ることはない場合、裁判所の許可が必要か否か判断に迷うことがありますので、成年後見人が裁判所と協議をして、裁判所の意向で裁判所の許可を不要としたか否かなどに注意する必要があります。
保佐の場合には、保佐人の同意が必要ですが、裁判所が保佐人に代理権付与の審判をしているときは、保佐人に売却等の代理権が生じます。
補助の場合には、裁判所が不動産売却について、補助人に同意権や代理権を付与したときには補助人の同意または代理が必要となります(後見等の審判を受けているか否かは法務局で発行する文書で確認します)。
なお、判断力に疑問があるのに成年後見などの審判を受けていないときは、その契約に関与しない方が良いでしょう。状況によっては本人に意思能力なしとして契約は無効とされてしまいます。少しでも本人の判断力に疑問があるときは、不動産登記を司法書士に依頼するときも、司法書士の方は本人の判断力に疑問があれば登記手続きの依頼を受けることはないでしょう。



