ほっと一息
2026.10.15
なくそう食品ロス
JA広報通信2026年10月号
食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美
イラスト:出口由加子
サツマイモ
サツマイモのおいしい季節になりましたね。日本だけでも品種が100種類以上あるとのことです。
今ではスーパーでも気軽に焼き芋を買えるようになりました。一方で、規格外のサツマイモは出荷されず、処分される場合があります。
また、干し芋を作る際には、色よく仕上げるために皮を厚くむくので、約4割もの部分が廃棄されているそうです。
茨城県は、干し芋の生産量が全国の約9割を占めていますが、生産工程で生じる残さ(廃棄物)は年間約1万トンに上り、その処理に多くの費用がかかっているとのこと。
そこで茨城大学では、干し芋の残さをアップサイクルするプロジェクトを始め、開発したレシピを製品化したり、地域イベントを開催したりしたそうです。
同じく茨城県行方(なめがた)市では、産官学の連携によって、規格外のサツマイモを生かした「さつまいもあん」を開発し、ふるさと納税の返礼品や道の駅で販売する商品に仕上げました。
管理栄養士の小嶋絵美さんの著書『捨てないレシピ』(サンクチュアリ出版)には、サツマイモを皮ごと食べるレシピが複数載っています。
例えば、サツマイモを切って生地に入れて蒸かした「鬼まんじゅう」や「さつまいものレモン煮」などです。「鬼まんじゅう」は、農林水産省の公式ウェブサイト「うちの郷土料理」でも愛知県の郷土料理として紹介されています。
角切りにしたサツマイモの角が鬼のツノや金棒を想起させたことから「鬼まんじゅう」という名前が付いたといわれているそうです。戦時中や戦後、食料難の時代でも、比較的手軽に手に入ったサツマイモと小麦粉を使い、米の代わりの主食として広まりました。
サツマイモの皮には抗酸化作用があるアントシアニンが含まれるので、食べずに捨ててしまうのはもったいないです。皮ごと焼いたり蒸したりしてそのまま食べたいですね。


食品ロス問題ジャーナリスト
井出 留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。


