ほっと一息

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2026.04.16

資産管理の法律ガイド

JA広報通信2026年4月号

JA全中・JA全国相続相談・資産支援チーム 顧問弁護士●草薙一郎
イラスト:吉田静佳

親族法について その31 民法上の「扶養」

 

 今回は親族法の最後として、扶養についての説明をします。扶養は生活保護の場面や税法の場面でも耳にしますが、今回説明するのは民法が規定している扶養のことです。

 

■ 民法上の扶養とは
 一定の親族関係がある者の間で、一方が経済的な事情で十分な生活ができないときに他の者が経済的な援助をすることを、民法上の扶養といいます。介護という言葉もありますが、介護は身体的、精神的に十分でない方に対して援助することで、民法の扶養とは異なる概念です。
■ 民法上の扶養の種類
 民法の扶養には原則として2種類あります。一つ目が夫婦間や未成熟の子に対する扶養で、扶養義務者が扶養権利者(未成年の子どもや配偶者)に自分と同程度の生活をさせることを生活保持義務といいます。
 二つ目がその他の親族を扶養するような場合、扶養義務者が自分の生活を犠牲にしない程度の扶養をすることで、生活扶助義務といいます。
 民法877条では、直系血族※1および兄弟姉妹は、互いに扶養する義務があるとされ、また、特別の事情があるときは、家庭裁判所が3親等※2内の親族間にも扶養義務を負わすことができるとされています。
 ただ、扶養の程度や方法については協議することを第一とし、できないときは諸事情を考慮して家庭裁判所が定めることになっています。扶養は金銭給付が原則ですが、同居して生活するという、引き取ることでの扶養になる場合もあります。
 成人した子が高齢の親を扶養する場合、前述の扶養のうちどちらに該当するかは、いろいろな考えがあるようです。生活保持義務と同じとの考えや、それより低いレベルでもいいという考えもあります。公的扶助との関係もあり、難しい問題です。

 

 

※1 本人の祖父母、父母、子、孫など
※2 本人や配偶者の曾祖父母、本人の曾孫とその配偶者、本人の叔伯父母とその配偶者、配偶者の叔伯父母、本人の甥姪とその配偶者、配偶者のおいめいまで