ほっと一息

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2026.03.02

なくそう食品ロス 3010運動で宴会での食べ残しを減らそう

JA広報通信2026年2月号

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

 

 3月は卒業式や人事異動など節目の季節で、宴会の機会も多くなりますね。そこで知っておいていただきたいのが「3010(さんまるいちまる)運動」です。宴会の最初の30分間と最後の10分間は席に着いて料理を食べましょう、という運動です。
 3010運動は長野県松本市で始まりました。市長が宴会での食べ残しを憂いて、市役所内で「宴会が始まったら30分間、席に着いて料理を食べよう」という「30(さんまる)運動」を始めました。長野県では、乾杯後、参加者がお酌に回る習慣があるからです。その後、市民にも広げるために、最後の10分間も加えた3010運動が誕生しました。
 これが他の自治体にも広がり、今では環境省の公式サイトから3010運動のPOP広告(イベント会場や店舗に設置され、消費者の意欲を高めるための広告)がダウンロードできるようになっています。私もこれまで何十枚もダウンロードし、画用紙に貼り付けてPOPを作り、多くの人に配りました。仲間との飲み会でも、これをテーブルに置くだけで効果があります。
 京都市の実証実験によれば、幹事が宴会の最後の方に「食べ切りましょう」と声がけをすると、声がけしない場合に比べて食べ残しが4分の1まで減りました。特に、価格帯の安い店では幹事の一声が食べ残しを減らすとのことです。
 イタリア北西部のピエモンテ州へ取材に行った際、3010運動について説明しました。しかし、イタリアではビュッフェの機会が少なく、1人ずつパスタやリゾットなど1品を注文し、じっくり時間をかけて食事するので、3010運動の意図があまり伝わらなかったようでした。また、イタリアでは、外食由来の食品ロスは全体のうち7%しかないと話していました(日本は14%。消費者庁「食品ロス削減関係参考資料」令和7年6月27日版より)。
 日本でも、3010運動がなくても自主的に食べ切ることができるようになればいいですね。

 

食品ロス問題ジャーナリスト 井出 留美(いで るみ)


株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。