ほっと一息

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2025.12.24

ご飯をおいしく楽しもう おいしい納豆ご飯の秘密は「粒が際立つお米」

JA広報通信2025年12月号

米・食味鑑定士/お米ライター●柏木智帆

 

 一年中店頭に並んでいる納豆ですが、実は冬の季語だと知っていますか。秋から冬に収穫した大豆を使って、年末に大量の納豆を作って正月に食べていた地域もあるそうです。
 私の夫の実家(福島県会津地域)では、今でも正月と小正月に納豆を食べる風習があります。今回はそんな旬の納豆に合うお米について考えてみます。
 納豆ご飯のお米選びに最も重要なポイントは粒感だと考えています。
 ご飯と納豆を口に入れたときに、納豆の粒とともに、ご飯の粒の輪郭を感じられることで納豆とご飯に一体感が生まれます。すっきりとして程よい粘りのお米でも、もっちりとして粘りが強いお米でも、粒感があれば納豆との相性はばっちりです。
 個人的には、前者のお米の場合は、納豆をかき混ぜ過ぎず、ご飯の粒と粒の間に納豆が入り込むことで一体感が生まれると思っていますが、後者の粘り強いお米の場合、納豆をしっかりと混ぜて、糸がもわもわと泡状になってからご飯にのせると、ご飯の粘りと納豆のもわもわ感が絡み、これもまた一体感が生まれると思っています。
 いずれも納豆は、ご飯粒に近いサイズの極小粒との相性が抜群です。粘りが強く軟らかい大粒品種のお米には中粒や小粒の納豆が合いそうですが、納豆は粒が小さいほど粘りが出やすいため、もわもわ感の出しやすい極小粒の方が合うと感じます。
 中粒や大粒の納豆の場合は、例えば、箸で簡単に切れるほど軟らかい納豆ならば、ご飯の軟らかさになじみますし、大粒の場合はご飯にまぶして「納豆ご飯」として食べるよりは、「納豆丼」として納豆をおかずにするようにご飯を食べる楽しみ方もあります。
 お米や納豆を変えながら、納豆ご飯の奥深さを探究してみてはいかがでしょうか。

ぷりっとした粒感のご飯と極小粒納豆に塩ザケを添えて