ほっと一息

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2025.10.27

私の食育日記 冷凍保存を上手に使おう

JA広報通信2025年11月号

食育インストラクター●岡村麻純

 

 離乳食にはできるだけ多くの食材を使いたいと思いますが、少量の離乳食のためにたくさんの材料を準備するのはとても大変です。そこで便利なのが冷凍保存です。
 しかし、家庭の冷凍庫での凍結はゆっくりと冷凍させる緩慢凍結しかできないため、瞬間凍結された冷凍食品と同じような品質で冷凍できるわけではありません。家庭で冷凍するときは、緩慢凍結でも品質変化が少ない食材を選び、冷凍する方法を工夫することが必要です。
 家庭での冷凍に適した食材というと、食感の変化が気にならないもの、例えば炒めたタマネギのみじん切りや、炒めたひき肉、スープなどが挙げられます。パンや米などのでんぷんを多く含む食品も比較的冷凍しやすいです。他には、煮豆やあんこなど味が濃厚で水分の少ない食品も冷凍に向いています。

 

 肉や魚は加熱調理をしてから、野菜も軽く加熱してから冷凍した方が良いとされています。生の野菜や果物が冷凍に不向きとされるのは、水分が多いため冷凍した際に細胞が壊れ、解凍すると水分が抜けて食感が変わってしまうからです。しかし、あえてその変化を利用することもあります。例えば、トマトはへたを切り落として冷凍しておくと、流水に当てるだけできれいに皮がむけ、形も崩れやすくなるためソース作りに適しています。また、冷凍したデラウェアなどのブドウも解凍するとつるりと皮がむけて便利で、ヨーグルトソースとして使えます。ダイコンもカットして冷凍しておくと細胞が壊れて味が染みやすくなり、手早く煮物を作ることができます。
 家庭で冷凍する際は、速く凍結するように小さく切って小分けで冷凍する、金属のトレーにのせて冷凍するなどの工夫も必要です。ホワイトソースや野菜だし、火を通した鶏ささみやサケを細かくしたもの、炒めたタマネギ、湯通ししたホウレンソウや小松菜、トマトなどさまざまなものを小分け冷凍するなど、冷凍保存を上手に活用していきたいです。

 

 

 

岡村 麻純(おかむら ますみ)タレント・食育インストラクター

お茶の水女子大学食物科学講座(現在の食物栄養学科)卒業
大学では食育をテーマに研究
男女3児の母