ほっと一息
2025.10.14
ご飯をおいしく楽しもう
JA広報通信2025年10月号
米・食味鑑定士/お米ライター●柏木智帆
お米を洗い過ぎずに本来の味わいを楽しむ
精米技術が発達した現代では、昔のように力を入れてお米を研ぐ必要はありませんが、肌ぬかを除去する必要はあります。
肌ぬかとは、精米したときにお米の表面に付着した粘着質のぬかのこと。吸水を妨げたり食感を損なったりする要因になります。
肌ぬかを除去するためには、水に浸したお米を手でさっと混ぜるなどお米を優しく洗う必要がありますが、濁りがなくなるまで何度も水を替えてしまうと、お米本来の味わいを捨てることになってしまいます。水が白く濁るのは除去された肌ぬかや水に流れたでんぷんによるもので、でんぷんはお米のおいしさです。
では、何回ほど水を替えるのが良いのでしょうか。何回目までが肌ぬかで、何回目からはでんぷんなのか、替えた水をそれぞれ透明な容器に入れて検証しました。
すると、3回目の水までは白く濁って若干黄みがかっている一方で、4回目からは濁りが薄くなりました。水を1日置くと、3回目までの水は肌ぬかとみられる白い粉が底にたまっていましたが、4回目になると底の粉が少なくなり、5回目になると粉はほんのわずかになり、6回目は水が薄く濁りながらも粉がまったくたまっていませんでした。
この結果から、肌ぬかは水を3回ほど替えればほぼ流すことができ、その後に水を白く濁らせているのは水に溶け出たでんぷんだと推測できました。多少の濁りはお米のおいしさなのです。ただし、肌ぬかの付着度合いは精米のやり方によって変わります。ご飯の香りや舌触り、つやなどを確認しながら洗い方の強弱を調整することをお勧めします。
若干の古米臭(酸化したぬかの香り)が気になる場合は、肌ぬかが酸化している可能性もあります。そんなときは普段よりもほんの少ししっかり洗い、水を替える回数を普段よりも1回だけ増やしてみてはいかがでしょうか。

肌ぬかは3回程度水を替えれば、ほぼ流すことができます


