ほっと一息

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2025.09.26

資産管理の法律ガイド

JA広報通信2025年9月号

JA全中・JA全国相続相談・資産支援チーム 顧問弁護士●草薙一郎

 

親族法について その25

 

 

 配偶者がいる者の養子縁組について説明します。
 配偶者がいる者が養子縁組をするには配偶者の同意が必要です。ただし配偶者と共に縁組をする場合と、配偶者がその意思を表示できない場合は、この限りではありません(民法796条)。簡単にいえば、配偶者がいる者は単独で養子縁組をすることはできますが、原則として配偶者の同意が必要ということです。
 ただし、未成年者を養子とするときは、配偶者の嫡出である子を養子とするか、配偶者がその意思を表示することができない場合を除いて、配偶者と共に養子縁組をする必要があります。
 まとめると、次のようになります。
①成人の者を養子とするときは、配偶者の同意があれば単独で養子縁組をするのが原則です。また、配偶者と共同での養子縁組も可能です。
②未成年の者を養子とするときは、民法798条により家庭裁判所の許可が必要です。ただし、自己または配偶者の直系卑属(子や孫、ひ孫など)を養子とするときは裁判所の許可は不要です。
 その未成年の者が、配偶者の嫡出である子のときは、裁判所の許可は不要で、単独での養子縁組も可能ですが、その配偶者の同意は必要です。未成年の者が配偶者の嫡出でない子のときは裁判所の許可は不要ですが、配偶者と共同で養子縁組をすることになります。
 その他の養子縁組の要件は、前述の未成年の子を養子とするには家庭裁判所の許可が原則として必要という他、15歳未満の者が養子となる場合は、その法定代理人がこれに代わって養子縁組の承諾ができるというものもあります。法定代理人による代諾ということになり、親権者や未成年後見人などが代諾権者になります。子が父母の親権に服しているときは、父母が共同して代諾します。
 次回は、養子縁組と氏について説明します。