ほっと一息
2025.09.22
ご飯をおいしく楽しもう
JA広報通信2025年9月号
米・食味鑑定士/お米ライター●柏木智帆
古米をおいしく食べるには
古古米や古古古米など、大量に放出された政府備蓄米を購入した人もいると思います。古米を炊くときには「水分が減っているから水を多めに入れて炊く」とも言われますが、私が食べた備蓄米(競争入札の2023年産米)の水分値を測ってみると14・8%で、新米を収穫して乾燥した後の15%前後から大きな水分の減りはありませんでした。それでも食感のぼそつきや古米臭(酸化したぬかの香り)が気になりました。
お米は時間経過とともにタンパク質の分子構造が変化して、でんぷんの周囲でより強固な網目構造を形成するため、熱によるでんぷんの崩壊が小さくなり、炊飯米は硬くなり粘りが弱くなります。また、酸化により古米臭が発生します。
ただし、古ければ古いほど香りや食感などが変化しているわけではなく、お米の質によって変わります。
古米の場合、精米時にお米の表面に付いた肌ぬかを丁寧に取り除くことで古米臭を多少は緩和させることができます。割れないように肌ぬかを取るため、お米をひたひたの水の中で指先を丸めてさっとかき回すことに加え、両手で拝むようにお米を挟んで優しく擦り合わせる、なで洗いの合わせ技がお勧めです。
吸水をスムーズにするためには新米であっても肌ぬかの除去は必要ですが、古米ではなおさらです。また食感を良くするため、冷水で洗った後は冷蔵庫で最低12時間以上吸水させてから炊くと良いでしょう。
古米臭が気になる場合は、炊き込みご飯にしてみましょう。また、古米臭だけでなく粘りも薄くなってぼそつく場合、お米に日本酒や蜂蜜などを入れて炊く方法が推奨されていますが、本来の白飯の味わいを楽しむためには水だけで炊くのが一番。潔くチャーハンやリゾットにすることをお勧めします。
収穫から1年たった2024年産米でもぜひお試しください。
収穫から1年半以上たっても水分は15%弱