ほっと一息

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2025.07.17

ご飯をおいしく楽しもう

JA広報通信2025年7月号

米・食味鑑定士/お米ライター●柏木智帆

お米をよりおいしく炊くには?

 

 

 お米を洗ったり炊いたりするときは冷たい水を使い、冷蔵庫の中で6時間以上吸水させることで、水が米粒のすみずみまで行き渡り、その水が熱伝導の役割を果たして芯まで熱を伝えることができます。低温の状態から炊き始めることで、沸騰までにかかる適度な時間(8〜10分ほど)を確保しやすくなり、じっくりと熱が入ることでふっくらと炊き上げることができるのです(炊飯器の場合、普通炊飯モードは温度を上げて吸水させていくため、単純に熱が入る早炊きモードがお勧めです)。
 そうはいっても、夏は水道から出る水の温度が20度を超えてしまいがち。水温を下げるために、炊飯時に氷を入れて炊く方法がメディアなどでよく紹介されていますが、この方法はお勧めできません。その理由は、氷を置いた箇所とそうでない箇所の温度差が生まれてしまうからです。すると、米の吸水速度が変わってしまい、熱の入り方も変わり、炊きむらが生じてしまいます。
 実際に氷を置いたまま炊飯してから、釜のご飯の上部だけを取り除いてみると、全体的に硬めに炊き上がり、所々のご飯粒の表面が溶けている一方で、釜の中心や下部は全体的に軟らかい印象でした。全体のご飯をほぐすと、ご飯粒が団子のようにダマになっている部分もあれば、ご飯粒の表面がけば立ってしまっている部分もありました。氷によって、熱の対流に影響が出てしまうことも推測されます。
 夏は米に最初に触れる水と、最後に触れる(吸水と炊飯の)水だけでも、あらかじめ冷蔵庫で冷やしておくと便利です。冷やし忘れたときは氷の出番ですが、米の上に直接置かず、ボウルや冷水筒などに水と氷を入れ、氷を溶かし切ってから冷たいうちに使うと良いでしょう。吸水は冷蔵庫の中がお勧めです。

 

氷を溶かした冷水はすぐに使うか冷蔵庫へ