ほっと一息
2025.06.26
資産管理の法律ガイド
JA広報通信2025年6月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎
親族法について その22
今回は子の氏について説明します。
嫡出である子は父母の氏を称することになります。現在の民法では夫婦は同一姓を称することになっていますので、嫡出である子は父母と同一の氏ということになります。ただ、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称することになります(民法790条1項)。父母が離婚して子が出生したとき、母が仮に復氏していたとしても、出生した子は離婚のときの氏を称するとされています。
なお、父母が再婚して別の氏を称することとなっても、子は当然には氏を改めた父母の氏になるわけではありません。
嫡出でない子については、母の氏を称するとされています(同条2項)。父が認知をしても、子は父の氏に当然になるわけではありません。
このように、子の氏と父母の氏が違うとされるケースは多いです。よくあるのは父母が離婚したケースで、仮に母が親権者となっても、子の氏は父母の離婚のときの氏のままです。このようなときに、子は家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定める届け出をすることで、父または母の氏を称することができるとされています(同法791条1項)。ただし、子が15歳未満のときは、親権者などの法定代理人が子に代わって裁判所への許可を得て戸籍法の届け出をすることができます(同条3項)。幼い子の親権者の母がこの行為をすることがよくあります。
子は法定代理人によって、氏が改められることが可能ですが、子は成年に達してから1年以内であれば、戸籍法に従った届け出をすれば、従前の氏に復することは可能です(同条4項)。なお、養子は養親の氏を称するのが原則です(同法810条)。
次回は養子縁組の説明をします。