ほっと一息
2025.05.19
ご飯をおいしく楽しもう
JA広報通信2025年5月号
米・食味鑑定士/お米ライター●柏木智帆
夏場は冷蔵庫で吸水させておいしく
炊飯器の「予約炊飯」機能を使っているご家庭は多いのではないでしょうか。
帰宅時に合わせて朝の出勤前に予約炊飯スイッチを押したり、朝の起床時に合わせて前日の就寝前に予約炊飯スイッチを押したりと、食べたいときにご飯が炊けているのは便利ですよね。
ただ、気温が高い夏場は特にお勧めしません。夏場に室温が上がった状態でお米を水に漬けたままにしておくと、雑菌が繁殖してしまう可能性があるためご注意ください。お弁当に使う場合はご飯が傷みやすくなってしまいます。冷房で室温が快適に保たれているとはいえ、外出中は冷房を切る場合が多く、就寝中は寝室の冷房は稼働していてもキッチンは冷房を切っているという場合も多いのではないでしょうか。
お米を長時間にわたってぬるま湯に漬けておく状態になるため、お米によっては炊飯したときにご飯粒の表面が溶解してべたつきやすくなるなど、味わいにも影響が出ます。
2台の炊飯器を使って、6時間後の予約炊飯をセットした場合と、冷蔵庫の中でお米を6時間弱吸水させてから早炊きモード(高速炊飯モード)を使った場合とで食べ比べてみると、予約炊飯のご飯は早炊きモードに比べてやや軟らかく粒感が薄いなど、味わいが劣るように感じました。それだけでなく、短時間の保温でつやが薄くなったり、ご飯粒の表面がざらついたりして、劣化しやすくなりました。
早炊きモードならば、冷蔵庫の中で6時間以上吸水させておけば、炊飯器にもよりますが炊飯開始から30分程度(1合=150gの場合)で食べられます。例えば、夜のうちに洗って水に漬けたお米を炊飯釜ごと冷蔵庫に入れておき、朝は冷蔵庫から出してそのまま炊飯器にセットしてスイッチオン。炊けたらふたを開けずに10分蒸らして完成です。ぜひお試しください。
予約炊飯前に冷蔵庫で6時間以上吸水させるのがポイントです