ほっと一息
2025.02.25
知って納得!税金講座
JA広報通信2025年2月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原
年金天引き(特別徴収)の社会保険料
納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。対象となるのは、例えば健康保険、国民年金、厚生年金保険、船員保険等の保険料です。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額、または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。過去の社会保険料をまとめて支払った場合には、全額支払った年の社会保険料控除になります。また、国民年金保険料は最大2年分を前納できます。こちらは前納分をまとめて支払った年の社会保険料控除にする方法と、各年分の保険料に按分(あんぶん)して控除する方法があり選べます。
後期高齢者医療制度では、原則として、年金から天引き(特別徴収)により保険料が徴収されています。この場合には、その保険料を支払った方は年金の受給者本人であるため、その年金の受給者に社会保険料控除が適用されます。しかし市区町村等へ一定の手続きを行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、納付書や口座振替(普通徴収)により保険料を支払うことが選択できます。この場合には、口座名義人(被保険者または被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限る)に社会保険料控除が適用されます。
似ているものに介護保険料があります。介護保険料も、65歳以上で年金を受給している方は、年金からの特別徴収により納付します。しかし、年金を繰り下げ受給した方や、年金額が年18万円未満の方は納付書や口座振替による普通徴収により納付します。後期高齢者医療保険料との最大の違いは、年金から特別徴収されている保険料を、普通徴収へ変更できない点です。この場合は、本人以外の方の社会保険料控除の対象にすることはできません。