ほっと一息
2024.04.08
トラブル回避の基礎知識 美容医療サービストラブルにご注意
JA広報通信2024年3月号
国民生活センター相談情報部●黄田玲子
美容医療サービスに関する相談が増加しています。
【事例】美肌治療を行うという美容クリニックのサイトを見て無料カウンセリングに出向いた。カウンセラーから、こめかみから糸を挿入してリフトアップする施術を勧められた。「施術は1回で終わる。副作用は顔が少し腫れる程度で、皆がマスクをしている今やった方がいい。今日ならモニター価格の20万円でできる」と急がされた。その後、医師から同様の説明を受けた。安い料金で簡単にきれいになれるならと思い契約すると、すぐに施術が始まった。
翌日、食事ができないほど顔が腫れクリニックに電話をすると、「血管を損傷したようだ。治るのに1カ月かかるが返金はできない」と言われた。元に戻して返金してほしい。
美容クリニックにカウンセリングのつもりで出向いても、「今やった方がいい」と急がされたり、「今日ならモニター価格でできる」と割安感を強調されたりして契約してしまうケースがあります。さらに、考える時間が与えられないまま、即日施術に至る場合があります。
美容医療は多くの場合、緊急性はありませんが、医療行為であり、医師には手術の方法や内容、難易度や成功の可能性、結果の見通し、起こり得る副作用や合併症、後遺症などについて丁寧な説明が求められます。また、費用を強調した勧誘や医学上必要性が認められない即日施術は避けるべきとされています。さらに、医師には施術をする際の注意義務の他、術後の経過観察義務があります。事例の場合、クリニックを受診して状態を見せ、今後についてよく話し合う必要があります。
美容医療サービスを受けても思い通りになるとは限りません。事前にリスクや副作用、使用する薬の材料などについて医師から十分に説明を受けましょう。即日施術は避け、他の選択肢も検討し、本当に必要なのかを十分に検討しましょう。