ほっと一息

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2023.09.14

お天気カレンダー 秋の空で天気を予想

JA広報通信2009年9月号

財団法人日本気象協会●檜山靖洋

 

 「夕焼けは晴れ」「月や太陽のかさは雨」など、天気のことわざはたくさんあります。漁業や農業が暮らしの中心だった時代は、生活と天気との結びつきが今よりも深かったのだと思います。空や自然の変化を見て、天気を予想することを「観天望気」といいます。

 比較的簡単にできる「観天望気」は、雲の動きを見ることです。「さば雲は雨」「ひつじ雲が出ると翌日は雨」ということわざがあります。さば雲は、空の高いところに広がる雲で、小さな雲が小石を敷き詰めたように規則的に並びます。いわしが群れるように見えることから「いわし雲」、魚のうろこのようにも見えることから「うろこ雲」ともいわれます。ひつじ雲は、文字通り、一つひとつの雲が牧場で群れるひつじのように見える雲です。

 晴れから雨が降るまでの空の流れを見ると、まず晴れをもたらした高気圧が東へ離れ、空の高いところに薄い雲が広がり始めます。この雲は、太陽や月がかすんで見えるくらい薄く、太陽や月の周りにかさができることがあります。その後、さば雲が出て、やがてひつじ雲に変わり、さらに低気圧や前線が近づくと、雲に厚みが増してきます。さば雲やうろこ雲、ひつじ雲は、天気が下り坂に向かうときに出ることが多いのです。

 秋は高気圧と低気圧が交互に通ることが多いので、このような雲の変化で、天気を予想するには、ちょうどいい季節といえます。秋の青空は澄んで、空も高く見えるので、空を見るのも一番気持ちいい季節です。ひつじ雲をぼーっと見ていると、ついつい数を数えて眠くなってしまうかもしれませんね。