ほっと一息

ほっと一息

2023.09.13

季節のいろどり帖  サノボリ

JA広報通信2009年9月号

●とよた 時

 

 農村ではこの時期、「サノボリ」という行事を行います。これはもともと稲の収穫を感謝する祭りだそうです。

 春、降臨したサ(田の神・稲の神)が、収穫を見届けて天に上ることから、サノボリといわれます。農家は神棚や床の間、土間、納戸などに、稲束、ダイコン、もちなどを供えお祝いをします。ノウガミアゲ、カカシアゲの行事も田の神様に感謝をする祭りです。

 北九州地方の農村では収穫が終わると、田んぼにわざわざ刈り残しておいた稲株数株を、農家の主人が刈り取って束にして家に持ち帰ります。そして土間に臼を置いて作った祭壇の上に、稲束と赤飯などを供えて田の神を祭るそうです。昔の人は、田んぼから最後に刈り取った稲束の中には田の神様が宿っていると考えたようです。

 ちなみに田植えの終わったあとに行われるサノボリ(サナブリ)行事も、田植えが一段落したあと、サ(田の神)が山上に帰ることを意味しています。