ほっと一息
2023.09.05
子育てQ&A 子どもと百日ぜき
JA広報通信2009年9月号
社団法人母子保健推進会議会長●巷野悟郎
Q 4歳の長女です。最近よくせきをしています。幼稚園で百日ぜきのお子さんがいると聞きましたが、心配ないでしょうか。母子健康手帳を見ると、子どもは百日ぜきの予防接種を済ませているので、安心していてもいいでしょうか。
A 昭和20年代、百日ぜきの患者は、年間数万人に上り、数千人が死亡していました。その後、予防接種が普及したため、発症数は減少し、百日ぜきの心配は少なくなりました。
それでも近年あちこちで、百日ぜき発生という話を聞くので、予防接種がすすめられています。
百日ぜきは、その病名が表すようにせきが続き、それがだんだんと強くなります。そしてせきが出た後、いきなり息が吸いにくくなり、ヒューという音を立てるほどになります。このとき、顔が赤くなったり、吐いてしまうことがあります。
時にはこの症状が1カ月近く続き、徐々に軽いせきになって治ります。通常、発熱は伴いません。
治療は早い段階で、百日ぜきに効く抗菌薬を使用します。しかし、特有のせきが出てからでは、効果が薄くなるので、後は自然の経過で治るのを待ちます。
この間は、できるだけ静かにして栄養を十分に取り、体力を落とさないようにしましょう。また、特有なせきが出ている間は、幼稚園は休むようにします。その後、体の調子によって登園できますが、登園は主治医の許可を得てからにします。
感染症の多くは、お母さんのおなかの中にいたとき、お母さんの持っている免疫をもらっているため、生まれてからしばらくはかかりません。しかし百日ぜきは例外で、お母さんから免疫をもらっていないので、新生児のうちにかかることもあります。それだけに百日ぜきの予防接種は大切です。効果もあるので、予防接種が済んでいるのは何よりです。