ほっと一息

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2023.08.10

なくそう食品ロス ローリングストック

JA広報通信2023年8月号

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

 

 2023年5月5日、石川県能登地方を震源とする地震がありました。石川県珠洲(すず)市では震度6強の揺れを観測しました。ちょうどゴールデンウイークだったので、旅館やホテルでは一時的なキャンセルもあったようで、大変なことだったとお察しします。

 日本で暮らしている以上、地震から逃れることは難しいです。昨今では、気候変動の影響で、地震以外の自然災害も毎年、発生しています。

 そのような背景もあり、自宅では食品や飲料水を備蓄している世帯も多いでしょう。ただ、悩ましいのが、非常用持ち出し袋に入れてしまうと、めったにその中身を確認しないということ。9月1日の防災の日など、年に1回、どこかのタイミングで必ず確認する習慣ができていればいいですが、私はそのような習慣付けができていませんでした。以前、非常袋に入れっ放しにしていたレトルトがゆを、賞味期限が数年過ぎた状態で発見しました。賞味期限は「おいしさの目安」なので、多少過ぎたくらいなら、五感を使って確認して食べればいいのですが……。

 そんな食品ロスを防ぐ備蓄方法があります。それが「ローリングストック法」です。台所や食品庫など、よく目に付く所に、普段から使っている常温保存の食材を備蓄しておき、使ったら使った分だけ買い足していく方法です。これなら、非常袋に入れっ放しで気付かないうちに期限が切れていたということが少なくなります。この方法は、11年3月11日の東日本大震災以降、注目されるようになりました。

 普段から使っている食材、そばやそうめん、パスタなどの乾麺や、レトルトカレーやパスタソース、パックご飯、魚の缶詰などを備蓄しておきます。仕事が忙しいとき、大雨や雪で買い物に行けないとき、この備蓄を使ってカレーライスやパスタ、麺類などを作ることができます。ぜひ、試してみてくださいね。

 

 

食品ロス問題ジャーナリスト 井出 留美(いで るみ)


株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。