ほっと一息

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2023.05.23

なくそう食品ロス 家庭で食品ロスを減らすこつ

JA広報通信2023年5月号

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

 

 6月は環境月間。食品ロスを減らすことは、家庭で今日からすぐできる、環境に関する取り組みの一つです。では、私たちは何から始めたらいいのでしょう?

 家庭の食品ロス削減は買い物前が勝負!です。

 米国のミネソタ大学で、おなかがすいているときと、そうでないときとで、買い物金額を比べる実験をしました。空腹時では、そうでないときに比べると、最大で64%も買い物金額が増えてしまう、という結果が出ました。1000円で済むはずが、1640円になってしまう、というイメージです。確かに、おなかがすいていると何でもおいしそうに見えてしまい、つい買い過ぎてしまったり、レジ横にあるお菓子を籠に入れてしまったりしますよね。

 これを防ぐためには、食事を済ませてから買い物に行くことが大切です。仕事帰りなどで難しいようでしたら、あめをなめてから行く、何か飲んでから行くなどすると良いのではないでしょうか。

 2020年の春、コロナ禍の初期の頃、英国やアイルランド、イタリア、オーストラリアなどで家庭の食品ロスが減るという調査結果が得られました。買い物がしづらくなり、買い物前に家の食品在庫をしっかり確認し、買い物リストを作るようになったためです。イタリアではスーパーに入店できる人数に制限がかかり、まだ寒い3月、間隔を空けて店舗の外で行列に並ぶ必要がありました。入店後は手袋をはめて買い物しなければなりませんでした。

 日本でも、「買い物は3日に1回にしましょう」「できるだけ1人で行きましょう」と某知事が呼びかける場面がありました。60代の女性会社員は新聞の投書で「買い物前に家の在庫を確認して買い物リストを作り、野菜を使い切るようにしたら食費が30%も安くなった」と書いていました。

 皆さんも買い物前の一工夫で、家庭の食品ロス削減に取り組んでみてくださいね。

 

食品ロス問題ジャーナリスト 井出 留美(いで るみ)


株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。