ほっと一息

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2021.10.02

トラブル回避の基礎知識 オンライン診療で行う痩身治療にご注意!

JA広報通信9月号

国民生活センター相談情報部●薮田朋子

 

 

 オンライン診療で行う痩身治療に関する相談が寄せられています。

 

【事例】減量したいと思い「食事制限も運動も不要!」とうたうネット広告を見て、オンライン診療用のアプリをダウンロードしテレビ電話でカウンセリングを受けた。目標体重や持病を聞かれた上で、カウンセラーから欧米では肥満治療薬、日本でも糖尿病治療薬として承認されている薬(GLP-1受容体作動薬)を自己注射する方法で行うと説明された。その後医師に代わり簡単な問診を受けた。3カ月分50万円を前払いすると、海外から注射薬が届いた。使ってみると吐き気などの副作用があり、クリニックに連絡すると、カウンセラーから量を減らすよう指示された。その後症状は改善したが、一向に体重が減らない。解約したい。

 

 

 痩身目的で糖尿病治療薬を自己注射させるオンライン診療が行われています。オンライン診療は特にコロナ下などにおいては一定のメリットがあると考えられますが、対面診療に比べ医師に伝わる情報が限定され、副作用が出ても直接受診しにくいなどのリスクがあります。

 医師には、処方する薬剤の効能や副作用などのリスクに関する説明をし、経過を観察することが求められています。しかし、糖尿病治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬を含め、現在国内で痩身目的で承認されている医薬品はありません。事例のように、医師から、未承認薬で安全性が確認されていないことの説明がなく、副作用を訴えても医師が対応しないのは問題です。

 美容医療を受ける場合は事前に、専門医の学会などが提供する情報などで、治療内容や副作用などのリスクを確認しましょう。特にオンライン診療では、医師による治療内容、効果、副作用などのリスク、治療費用や解約条件などの説明が不十分な場合、契約をしない方が安全です。